「どろんこの森」は、青梅市畑中にできた認可外保育施設。内閣府主幹・企業主導型保育事業として2018年6月に開園しました。
自然豊かな環境に位置し、園舎に入ると、床は多摩産材の無垢の板。裸足で気持ちよく進むと、薪ストーブがあり、園舎の中心には大きなダイニングテーブル。子どもたちがおやつを囲んでいます。
奥の和室に布団が敷いてあり、調理室は家庭の対面式キッチンのようで、子どもたちにものぞけるようになっています。
庭には遊具ではなくストーブ用の薪や、実のなる樹が。
それでいて、すべてに子どもたちの使いやすい配置、安全性が配慮されているのです。
「どろん子の森」の保育には、ひとりひとりが大切にされ、異年齢の中で育ちあってほしいという願いが込められています。
日々の保育の中でも、それぞれがやりたい遊びをしっかりと遊び込めるよう配慮。
雨でもカッパを着て外に出て遊び、どろんこになって帰ってきたらあったかいお風呂でみんながわいわい待っています。
給食は家庭的な台所のような調理室で手作りされ、そのようすを子どもたちが見ることができます。
年齢別のクラスに分かれていないので、日常の生活の中で大きい子と小さい子がふれあい、一緒に遊ぶ様子が見られます。それはまるで本当の兄弟のようです。
幼児期を異年齢のクラスで過ごす「縦割り保育」の園は青梅にもありますが、0歳児から5歳児までを一緒に保育する園は珍しいです。
年齢により発達も異なり、日常生活でも配慮する点が異なるため、管理面だけで考えると、通常は分けた方が安全性を保ちやすいからです。
「どろん子の森」では保育者の配置を厚くして安全性を確保しながら、0歳から5歳まで、クラスを分けない運営をしています。
それは、小さい子には優しくしようね、という声かけをするまでもなく、日常に小さい子がいることで、日々の生活の中でおのずと配慮する心が育っていくという方針が基になっています。
また発達には個々にグラデーションがあるので、成長の早い子は年上の子どもたちと、成長がゆっくりの子は同じペースの子たちと過ごすことで、年齢にとらわれず個々に無理なく心地よく成長していくことができます。
こうした保育方針に共感して、東村山や国立など遠方から通っている子もいるそうです。
「どろんこの森」では土日に勤務のある保護者も利用しやすいよう、日曜日も含めて休園日なしで7時から20時まで開園しています。青梅市では休日保育を行っている園はここだけです。また19時までは延長料金がかからず、休日保育も通常の保育料に含まれています。
お迎えもゆるやかで、保護者が来られたらコーヒーを淹れて、小一時間ゆっくりとする方もいらっしゃるそう。他の園ではなかなかない、この時間を大切にすることで、家族のような繋がりを育んでいます。
その日の子どもの様子を優先し、お迎えが遅くなるとおやつを出してくれたり、お風呂に入れてくれたりと、配慮してくれる環境を作っています。
また内閣府主幹・企業主導型保育事業のため、行政を介さずに直接入園できるので、すぐに預けたいというニーズにも対応しやすくなっています。
園長は鈴木美貴子さん(35歳)。青梅市大門出身で、吹上や大門の田んぼや霞川でザリガニやタニシをとったり雑木林で秘密基地をつくったり、近所の自然があそび場でした。
19歳のころから「おうちのような保育園を、地元で作りたい」と志し、羽村の保育施設で11年間異年齢保育を学び、「どろん子の森」を開園します。
20代のころから日々の保育や経営の経験を積みながら、スウェーデンなど海外の保育施設も自腹で視察に訪れ、勉強する熱心さ。
鈴木さん自身も4歳の男の子を持つママ。働きながら子育てする大変さを経験しながら、同じような保護者を支えたいという思いから、どんな働き方・生活スタイルの親でも頼りやすい保育園を目指しています。
2018年の開園から園児も徐々に増え、くつろいだ雰囲気の中、毎日を生き生きと過ごす子どもたち。園の隣にある畑では、地域の方とあいさつを交わしながら、園児が野菜のお世話をしながら土に触れて遊んでいます。
さらに近頃では他の保育園や団体とも一緒に時間を過ごす機会を作ったりして、その輪を地域に広げていっているようです。
地域にだんだんと根付いていく、大きな家族のような「どろん子の森」。
見学も随時受け入れているそうですので、お電話で事前連絡の上、一度遊びに行ってみてくださいね。
どろん子の森
電話: 0428-27-3664
住所: 青梅市畑中3-889-1
開園時間:7:00-20:00 休園日なし
アクセス:青梅駅より、都営バス「吉野行」(梅76系統)に乗り「畑中三丁目」バス停にて下車、徒歩1分。
WEB: https://www.doronkonomori.com/
・19時以降は延長保育料800円/1時間
・青梅市内外問わず入所可能
<内閣府主幹・企業主導型保育事業>
執筆:小川佳那惠(おがわかなえ)
NPO法人かぷかぷ山のようちえん代表理事。保育士、ライター。
2016年に夫の転職を機に青梅に移り住んだ2児の子育てママ。「子どもたちにとってやがてふるさととなる青梅を、より楽しいところに」をモットーに、子育てやまちづくりの分野で働いています。