ある休日。アトリエkikiへ家族でやってきた子どもたちとパパは、朝からものづくり教室で、木のカッティングボードとスプーンを作ります。
ママは料理教室でパンやお菓子などを作ります。そしてお昼に合流して、子どもとパパで作ったカッティングボードに、ママが作ったパンやお菓子を盛り付けて、カフェスペースでランチをとりながらお互いの成果を見せ合いっこ…。
こんな一日を過ごせるような場所を構想しています。
「よく夏休みの宿題の工作を手伝う親の方が、こどもより夢中になっちゃうんですよね」自分の親もそうだったと、吉野さんは振り返ります。オトナ自身もときにはモノづくりに没頭できる場所が必要ではないかと考えています。
また、こども達がモノづくりに取り組んでいる間、隣ではオトナがまったりとお茶できるようなスペースが。子育てからちょっとだけ解放されるような、こどもも大人も心地よい休日を楽しめる場所を目指しています。
アトリエkikiの代表、吉野さんは青梅市師岡町出身の29歳。現在は八王子市の家具メーカーで修業しながら、2020年3月に、地元青梅で家具職人としての独立を目指しています。
「子どもの頃、柚木町の材木屋だった祖父宅の廃材や木くずで遊んだり、泥あそびが好きでした」と語る吉野さん。図工の時間も大好きで、しばしば作品が西友のボッパルトホールに学校代表として展示されたとか。
「楽しくて好きなモノづくりをして生きていきたい」という思いから、高校では建築関係の学校に進学。恩師との出会いもあり、その後、家具職人への道を進んできました。
ふだんから甥っ子たちとよく遊んでいた吉野さん、ふと「子どもたちが安心してモノ作りに没頭できる場所があったらいいのでは」と考えるようになり、子連れの家族や子どもたちだけでも気軽に遊べるアトリエkikiの構想は始まります。
ちょうど吉野さんの実家には使われなくなった古民家がありました。キッチンやダイニングもある広い空間なので、料理の分野で活躍している専門学校時代からの友人の菱沼美央さんに相談。料理教室やカフェ構想も拡がります。
ワクワクするようなプロジェクトに、どんどん仲間も増え準備が進んでいきました。
感性を刺激する『学びの力をつけてくれるモノづくり』
こどもも大人もモノづくりを楽しむコミュティスペース
というビジョンを描き、2度のクラウドファウンディングで多くの資金が集まります。
現在Cruftスペースが先行スタートしています。ここでは、様々な工具や専門的な機械が揃うので、本格的なDIYが楽しめます。
プロ仕様の「ブツ撮り」が可能なミニ撮影スペースもあり、作った作品をその日に撮影できるので、多彩なワークショップを企画できそうです!
アトリエkiki内では、2019年5月からクラフト雑貨のお店もopenしています。店主の玉城さんは数年前に青梅に移り住んできたばかりでしたがアトリエkikiの計画を知り、吉野さんともすぐに意気投合。アトリエkikiを運営する仲間となり、玉城さんはkikiのスペース貸し出しを担当しています。
今後は地元のクラフト作家の作品も販売していきたいとのことです。
アトリエkikiの完成目標は2020年3月。4月からは月1回程度、休日にopenの予定です。
現在改装中のキッチンスペースでは料理教室も開けるよう、許可申請など進めています。広い作業台があるので、パンやお菓子、そば打ちなどの作業をみんなでにぎやかに楽しめそう!
また地域のためのシェアスペースとして、青梅に多くいる若いクリエイターや、将来独立して仕事をしたい若者が挑戦できる場としても開放。ワークショップや展示会などの企画を発信できる場になります。
「イベント開催するたびに、こどもから大人までこんなに笑顔になれる空間が、ここ青梅にやっぱり絶対あった方がいい!と実感するんですよね」と吉野さん。
若者である自分たちが自ら企画し行動し、挑戦できる場所があれば、もっと青梅は盛り上がるに違いない!と熱い志をもって、もくもくと残りの改修作業にあたっています。
いよいよ来春に迫った、アトリエkikiの本格open。
新しい青梅のにぎわいスポットとして、期待が高まります!
アトリエkiki
住所: 青梅市師岡町2-36-1
最寄駅: 東青梅駅から徒歩10分
駐車場: 10台(土日のみ)
執筆:小川 佳那惠(おがわ かなえ)
NPO法人かぷかぷ山のようちえん代表理事。保育士、ライター。
2016年に夫の転職を機に青梅に移り住んだ2児の子育てママ。「子どもたちにとってやがてふるさととなる青梅を、より楽しいところに」をモットーに、子育てやまちづくりの分野で働いています。