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趣のある小径の奥に見える和傘と重厚な梁や扉、遠目にも赤黒のコントラストが美しい玄関。ここ山香荘は、江戸時代から営まれている創業300年を超える由緒ある宿坊です。
期待に胸躍らせながらエントランスを入ると、和モダンなラウンジとジャズの音色が心地良く迎えてくれます。
「大正ロマン」がテーマという館内、梁や柱、調度品など随所に大正時代の趣を遺しながら、新しさも融合させたモダンな内装。どこを見ても見飽きることがないくらい、さりげなく、あるいは大胆に骨董品、芸術作品が飾られています。
山香荘のお料理は、宿坊の域を超えた美食の創作料理。さまざまに趣向をこらした山の恵みは、心に残る一皿ばかり。ご主人は元々都心の有名レストランで腕を磨いた料理人で、その手腕は御師となった今も存分に発揮されています。
食前酒や薬味や甘味までほぼ全て手づくりというこだわり。四季折々にメニューが変わっていくとのことで、何度でも訪れたくなってしまいます。
工夫や手間を惜しまない姿勢は、ご主人と女将さんの「お客様を驚かせたい」という想いからくるもの。見た目の美しさはもちろん、「この素材は何?」「隠し味は何?」「どうやって作るの?」などと驚き、興味を持っていただくことにやりがいを感じるそうです。そのため日々のメニュー作りにはお2人で納得いくまで吟味するのだとか。
御岳山では刺身こんにゃくが名物ですが、宿坊によってその食感など微妙に異なり個性が出ます。山香荘ではお土産用もあり、立ち寄るハイカーにも大人気で早々に売り切れてしまうことも。
こんにゃく作りは女将さんが担当、芋の状態を見ながら配合や混ぜ具合など絶妙なタイミングを見極めて、極上のこんにゃくを仕込んでいるそうです。
大広間に展示されているのは文豪・浅田次郎直筆の原稿。
山香荘は浅田氏の母上のご実家であり、浅田氏の自伝的小説「神坐す山の物語」は山香荘が舞台です。
浅田氏が幼少期にこの宿坊で語り聞いたり体験した不思議なエピソードが描かれ、大正から昭和初期にかけての宿坊集落の暮らしぶりや、御岳山が下界とはどこか別次元の特異な場所であることがよく分かります。
ビジター利用できるランチとお風呂
宿泊しない方でもランチ利用ができます。また、登山帰りなどに嬉しい日帰り入浴もOK!
ランチ(要予約)11:30-14:30(日によって変動あり、電話でご確認ください)
入浴料¥500
「山香荘オリジナル3点セット」お風呂+お食事+お飲物 1,995円(2時間限定)
※料理内容は季節により変わります
19代目御師であるご主人と女将さんのこだわりと誇りを感じるお部屋の数々。各部屋からの眺望も素晴らしく、晴れていれば関東平野を一望でき日常から解き放たれる時間を堪能できます。
床に座りにくい方のために、お部屋にソファーをご用意。スリッパがない代わりに宿泊客全員に靴下プレゼント。
アメニティの添え書きなど、女将の直筆メッセージがあたたかく、随所に細やかな心配りを感じます。
山香荘自慢のお風呂は古代檜風呂と大理石風呂の二種類(男女入替制)。ゆったり浸かれる大きな湯舟。お湯はラジウム泉で芯から温まり疲れが和らぐと評判です。
山香荘オリジナル純生酒「山の香」。山香荘専用に蔵元から直送されるプレミア品です。生酒ならではのみずみずしくフルーティーな香りと、すっきり爽やかなのどごしが人気です。
「うちは『費用対満足感』とでも言うんでしょうか、お客様に出していただくお金以上の満足を提供することが信条です。喜んでいただくのはもちろんですが、随所に"驚き"を隠しておきたくて。気付くか気付かないかの仕掛けを考えるのが好きで、楽しみながら仕掛けています。」とご主人。
学生の頃から山を離れ、都心のレストランで腕を磨いたご主人は、真由美さんと結婚して一緒に御岳山へ戻ってきました。宿坊を継いでから大きく館内をリフォームをして、現在の大正ロマンの内装に設えます。DIYもお得意で、宿坊内のあちこちにご主人の素人離れしたお手製品が館内を彩ります。
女将は糸問屋の娘で美的センスが抜群。非日常を味わっていただきたいからと、スタッフのユニフォームもふだん目にしないスタイルを女将がチョイス。いつでも明るく陽気な女将に、誰もが元気をもらいます。
薪ストーブならではの暖かさと香りと揺らぐ炎を求めて訪れる常連さんも多いとか。
薪割りどころか木を伐採するところからご主人のお仕事でメンテナンスも大変ですが、所望があればつけられるよう備えているそうです。
こんなところにも「とにかく喜んでもらいたいから」という心意気を感じます。
いまや押しも押されもせぬ名物お宿の風格ですが、これまで数々の困難があったとか。それでもお2人で子育てもしながら積み上げてきた20年。その細やかな心遣いと、私たちを元気にしてくれる明るさはきっと誰でもファンになります。大正浪漫な異空間で非日常を味わい、温かなホスピタリティに触れたくて訪れるリピーターが多いのもうなづけます。
大人 ¥12,100/人(2名宿泊電話予約時)~ ※時季により変動
小学生 ¥6,000
幼児 (食事・布団あり)¥5,000 (食事・布団不要)¥1,500
0~2歳 無料
※連泊不可
なし
大人 ~40名
子ども ~50名
3食付 ¥6,000~/人(小学生)※電話で応相談
離乳食持ち込みOK / 子供用椅子あり / ベビーバスあり / ベビーベッド無し
大広間 / 勉強机 / スクリーン / ホワイトボード / コピー機 / DVDデッキ / Wi-fi / お茶セット / エアコン / 石油ファンヒーター / 金庫 / 鏡台 / ソファ / 内線電話 / 喫煙所
ハミガキセット / カミソリ / タオル / バスタオル / 浴衣 / 靴下
ハンドソープ / ボディーソープ / リンスインシャンプー / クレンジング / ドライヤー / 化粧水
民芸のお宿 山香荘一宮坊 基本情報
住所 | 東京都青梅市御岳山137 |
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ケーブルカー御岳山駅から | 徒歩15分 |
電話 | 0428-78-8476 |
チェックイン | 15:00 |
チェックアウト | 10:00 |
宿泊可能人数 | 2名からOK |
現地でのお支払い | 現金 / クレジットOK(ランチは不可) / Air PAY |
暖房費 | ¥300 |
予約方法 | 電話(8:00~21:00) 楽天トラベル じゃらんnet |
※掲載内容は変更の可能性があります。(2021年5月 現在)
執筆・撮影:kako-style*
青梅市在住10年目の水彩画家です。個展やお教室中心にゆるゆる活動中。青梅は知るほどにステキな場所、ステキな人がいっぱいですね。最近急激に「青梅愛」がつのり、取材じゃなくてもそそられる場所をアチコチ訪ねてます。