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ケーブルカーから降りて武蔵御嶽神社へ10分ほど。参道の途中から急な下り坂を降りた先にある藤本荘。御師さん夫婦と大女将の3人が営んでいる宿坊です。
快活で笑顔が素敵な若女将に迎えられ、2階に上がるとそこに和の趣を感じる客室があります。
「梓(あずさ)」、「檀(まゆみ)」と花の名前が冠された客室はどちらも和室です。畳、障子、アメニティなど、滞在時に目に入るものすべてが清潔に整えられていて、若女将の細やかな気遣いを感じられます。
この日の夕食は豚肉のしゃぶしゃぶがメインの春づくし懐石。
料理を担当しているのは御年84歳の大女将と若女将です。この宿で過ごすお客様に、料理を通じて季節を感じるように創意工夫を凝らすのが大好きなんだそう。
食材は講社からのお供え物や、卸売市場から直接仕入れたものです。
取材時は奥多摩から仕入れたアユでしたが、御師さんの趣味が富士五湖のひとつである本栖湖での魚釣りということで、釣果次第で夕食に出ることもあるとか。
神道では、お供えした物を下げて皆でいただくことを「直会(なおらい)」というそうです。
若女将のおすすめは秋のメインディッシュである「いがぐり」。栗の渋皮煮の周りに魚のすり身をまとわせ、周りに茶そうめんでトゲをつけた目にも楽しい逸品です。
「料理がおいしい」「繊細な味付けに驚く」と口コミでも評判の大女将の料理をこれからも守っていきたい、と若女将は話します。
ランチの予約も可能です
藤本荘は予約ランチが大人気の宿坊。口コミで評判が拡がり一般の方も多く利用しています。2,200円~
(例)4,400円で、取材時の夕食(季節のプレート・小鉢・メインディッシュ・副菜三種・ごはん・お吸い物・デザート)のボリュームある懐石料理。
※料理内容は季節により変わります
藤本荘の皆さんは片栁さん。ただ御岳山に片柳さんは6軒もあるので、御岳集落の方々はふだんから屋号で呼び合います。
藤本荘の屋号は「不入地場(ふにゅうちば)」。
なかなか難しいお名前ですが、ここからは世俗の人間は入れないという意味で、創業当時はより御岳神社に近い神代ケヤキのふもとに建物があり、世俗との境目になっていたという由来があります。
代々引き継がれている家系図によると、当主の茂生さんはなんと40代目!
あの藤原氏の子孫とも言われ、天平の時代(聖武天皇の治世/奈良時代)から続いているとの記述が残されています。
茂生さんは御師の中でも神事を取り仕切る祭事部に所属し、祭事のほか地鎮祭や結婚式も執り行っています。
また御師の皆さんは、祭りのときに神様を楽しませるための雅楽も修得し、演奏する楽師でもあります。茂生さんの主な担当は大拍子太鼓ですが、箏・琵琶・笙など一通りの楽器は使いこなせるほど達人の領域。
一年の間に数回、一般客にも公開する神楽がありますので、ぜひ一度雅な演奏と舞を鑑賞ください。
茂生さんは東京都御岳ビジターセンターの館長を務めていたことがあります。現役時代は御岳山の人気ガイドで、皇太子さま(現天皇)の案内人も務められたという凄腕の持ち主です。
宿泊のときにはタイミングが合えば、武蔵御嶽神社や御岳山の自然についてのお話が聞けるかもしれません。
御岳山の一番のおすすめはやはり秋だとか。御岳山の中には楓だけでも18種類あり、日の当たる時間、自生する植物の種類、葉の厚さなどでそれぞれの紅葉スポットで最も美しい姿が見られる時間があるそうです。
「本物」の歴史と文化に触れ、藤本荘に癒され、ディープな御岳山の魅力に引き込まれてみるというのもまた一興ですね。
宿泊料金(1泊2食付き)
大人 ¥10,000/人 ※年末年始時に変動
小学生 ¥8,000(子供向けディナー)
幼児 (食事・布団あり)¥6,000 (食事・布団なし)無料
乳幼児連れ情報
離乳食持ち込みOK / 子供用椅子あり / ベビーベッド無し
設備
Wi-fi / 湯沸かしポット / お茶セット / エアコン(一部) / 洗浄機付トイレ / ホワイトボード / DVDデッキ / ラジカセ / コピー機(有料)/ ピアノ / テレビ
アメニティ
タオル / バスタオル / 浴衣
浴室
ボディーソープ / リンス / シャンプー /ドライヤー
藤本荘 基本情報
住所 | 東京都青梅市御岳山64 |
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ケーブルカー御岳山駅から | 徒歩10分 |
電話 | 0428-78-8464 |
チェックイン | 15:00 |
チェックアウト | 10:00 |
宿泊可能人数 | 1名からOK |
現地でのお支払い | 現金 |
暖房費 | 11月~3月のみ ¥500(1室) |
予約方法 | 電話(3日前まで) 9:00~20:00 |
※掲載内容は変更の可能性があります。(2021年5月 現在)
執筆・撮影:たなかもみこ
福生生まれ、青梅育ち。普段はSNSマーケティングの会社でアシスタント業務を行いながら、フリーで活動しています。
20年間青梅にいましたが、もっぱらインドア派。取材を通して地元・青梅の魅力を改めて感じています。
アイコンは青梅で拾った実家の愛猫です。