目 次
武蔵御嶽神社へ向かう急坂の曲がり角、注連縄が張られた御岳山荘の風格ある門構えがみえます。
御岳山荘は、鎌倉時代から蔵王権現を守る神社の神主家として、御岳山の中でも長い歴史を持った宿坊です。
まるでタイムスリップしたかのように厳かで見事な佇まい。思わず息を吞むほど古き良き美しさを感じられます。
門をくぐると、そこには春はミツバツツジやボケ、秋はモミジ、といった四季折々の風景をあじわう庭。
雰囲気に魅了され、その場にしばらく立ち止まっていたくなる空間です。
このお屋敷は江戸時代建立の貴重な建造物であり、館内の柱や梁、鴬張りの床にも歴史を感じられます。老朽化のために建て替えを考えたこともあったそうですが、「この立派な建築を残して行きたい」というご主人の強い思いから、必要なリフォームや修繕を重ねることで建設当初の姿を守り続けています。
歴史を感じさせる館内でありながら、客室は過ごしやすく配慮された設備が整っています。全室に専用トイレ・洗面台が付いているのは山上の宿としては珍しい贅沢な造りです。
目の前に御岳の大自然が広がる東向きの部屋からは日の出を拝み、最近リニューアルされた西向きのお部屋からは奥多摩の山並みを臨み、夕暮れの空を楽しむことができます。
お食事は、御岳神社の分霊を祀る内神殿のある大広間でいただきます。
四季折々の御岳山上の畑で採れた野菜や山菜などを中心に、山の恵みを存分に堪能するお料理。品数豊富な上に味もボリュームも満点です。
御岳山名物の刺身こんにゃくは41代目のご主人が丹精こめて手作りしたもの。ぷるぷる食感でとても人気のある逸品、お土産に購入もできます。
ご主人は釣り好きで、釣りをしに多摩川渓谷や富士五湖まで出かけることも。御師自らが釣り上げた新鮮な川魚がいただけるかもしれません。
「柿巻き」は御岳山の各宿坊でそれぞれ毎年仕込む伝統の保存食。お料理の品数も多いのにほぼすべて手づくりのものばかりという、カラダに嬉しいこだわりの献立です。
若女将の出身が金沢とのことで九谷焼を多く使うなど、器も1つ1つが美しいです。
お風呂は男湯・女湯に分かれた大浴場です。
お湯は御岳山の水質上とても柔らかく湯上りのお肌がしっとり仕上がると好評。大きな窓から望む大自然の景色に、心身ともに癒されます。
取材に訪れたのは3月、お宿玄関を入ってすぐの広間に部屋いっぱいに飾られた雛人形やつるし雛に、思わず歓声をあげました。
娘さん達のお人形から若女将さんや女将さんの、歴代のお雛様がずらっと並び壮観な眺めです。
保管も飾りつけも大変な手間がかかるお雛様ですが、昔ながらの伝統を大切にする、丁寧な暮らしぶりを感じます。
話を伺ったのはご主人で御師の金井格さん、なんと42代目だそうです。
鎌倉時代より神主の家として代々御岳山を守り続けてきた由緒ある金井家。屋号は「屋敷」といい、御岳集落の方々から”やしきさん”と呼ばれます。実際、御岳山の中でもトップクラスに大きなお屋敷です。
御岳山で生まれ育ったご主人は、子供の頃の遊び場はもちろん山!ナタを持って山を探検し、春にはカエルを捕まえたり、見立ての良い蔓を見つけてはターザンをして山に落っこちてみたりとワンパク少年だったといいます。
お話をうかがっていると、部屋の奥に徳川家の葵の御紋を見つけました。
これは武蔵御嶽神社の宝物殿に収蔵されている赤糸威鎧(あかいとおどしのよろい)を徳川吉宗公がひとめ見たいと所望され、江戸城にて御上覧された際の返礼品とのこと。
もともと武蔵御嶽神社は徳川家康の命により江戸の護りとして改築されるなど、徳川家とは強い結びつきがあります。
ご主人からは武蔵御嶽神社の歴史や御師、宿坊のことなど興味深いお話をたっぷり伺い、まるで生きた歴史絵巻に触れたかのよう。
宿泊の際は御師さんのお話を訊く機会をぜひおすすめします。きっと御岳山の奥深さを感じる旅になるはずです。
若女将さんは石川県ご出身で元巫女さんなのだそうです。歴史ある御岳山荘の広い館内を切り盛りし、お手伝いさん含め忙しい時には3人の娘さんも一緒に家族総出で客人をもてなします。皆さんとても丁寧でやさしい物腰の方ばかりで、居心地のよい滞在ができます。
一見、おごそかな雰囲気に少し敷居を感じる御岳山荘ですが、「敷居なんてないですよ、老若男女・外国人問わず様々な方に泊まっていただいています」とご主人はざっくばらんな笑顔で話します。
御岳山の歴史を深く感じ、宿坊の皆さんの温かさにも癒される、思い出深い旅をぜひ味わってください。
宿泊料金(1泊2食付き)
大人 ¥10,500/人(電話予約時)~ ※部屋・時季により変動
小学生 大人料金の70%
幼児 (食事・布団あり)¥6,000 (食事・布団なし)¥1,100
団体利用
料金要相談(人数・内容に応じて対応)
乳幼児連れ情報
離乳食持ち込みOK / ベビーバス無し / 子供用椅子有り / ベビーベッド無し / 食事個室対応など可(要相談)
設備
TV / Wi-fi /湯沸しポット/ お茶セット / 洗浄機付トイレ(一部) / 鏡台(一部) / 金庫 / 自動販売機 / 喫煙所(イス有) / ビデオデッキ(DVD・VHS) / FAX
アメニティ
ハミガキセット / タオル / バスタオル / 浴衣
浴室
ボディーソープ / リンスインシャンプー / ドライヤー
御岳山荘 基本情報
住所 | 東京都青梅市御岳山123 |
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ケーブルカー御岳山駅から | 徒歩15分 |
電話 | 0428-78-8474 |
チェックイン | 15:00 (最終チェックイン 19:00) |
チェックアウト | 10:00 |
宿泊可能人数 | 2名からOK |
現地でのお支払い | 現金のみ |
施設利用料 | ¥300/人(大人のみ) |
予約方法 | 電話(8:00~21:00) |
執筆者:三浦 映理
OMEGOCOTI 取材・編集スタッフ
青梅市柚木町出身。都心から青梅にUターン後、子供の頃は知らなかった青梅の魅力に気付き始めました。青梅に住む人・訪れる人に心のこもった情報を届けていきたいです。
普段は東青梅でエステサロンをしています。
子連れ・託児OKのアットホームなサロンです♪
https://reine-ome.maisonwalea.com/