JR青梅駅降りてすぐ、今では珍しい純喫茶。
駅前ロータリー、セブンイレブンの角を右にまがって歩いていくと出会う、古風な佇まいのカフェ・ド・クラージュさんにお邪魔しました。
さっそく中へ入ってみましょう。
一歩中に入るとどっしりと落ち着いた大人の雰囲気たっぷりです。漆喰と太い梁が印象的。この梁は先代オーナーのこだわりで古民家の古材を使用したものだそう。
次に目が止まったのは各テーブルに生けられたかわいらしいお花たち。細やかなおもてなしの心遣いを感じます。
ここは秋山寿枝(としえ)さんと妹さんたち3姉妹で、1996年から切り盛りする喫茶店。
それまでアパレル業界で世界を飛び回っていたという姉の寿枝さん。飲食店経営をすることは全く考えていませんでしたが、もともと料理することが大好きで、ひょんなきっかけが重なりこのお店をスタートさせることになりました。
純喫茶の雰囲気から”お茶”がメインのお店なのかしらと思いきや、お食事もぜひともおススメしたいほど、こだわりのつまったメニューの数々。
料理はお姉さんの寿枝さんが担当。曜日ごとに日替わりランチセット(¥1,200)があり、この日はオムライスの日だったのですが、おすすめを伺うと「どれも本当にお薦めなんだけど...ナポリタンも普通のものと違ってこだわっているのよ」という言葉に、ナポリタンをいただくことにしました。
まず出てきたセットのサラダが、ボリュームたっぷり!付け合せのサラダの域を超える量と、約10種類もの野菜で嬉しい驚きです。しかも、なんと注文されてから野菜を刻むのだとか!
通常お店ではスムーズに料理を提供するために、ある程度準備しておいて、店によってはお皿に盛り付けるところまで完成させて冷蔵庫に準備しておくというやり方が一般的です。
「切りたての食感やみずみずしさを楽しんでほしいし、ちょっぴりじゃなくてしっかり食べてほしい。色とりどりってことは栄養価も多いってことでしょう。だからそこは徹底してるのよ」というこだわりに脱帽です。
Menu | |
エビピラフ、高菜ピラフ、メキシカンピラフ | 単品¥700 |
オムライス | 単品¥750 |
ナポリタン、明太子パスタ | 単品¥800 |
≪上記のメニューにプラス500円でセットになります≫ | |
チーズケーキ、シフォンケーキ | ¥450 |
ドリンク | ¥450~ |
そして熱々で出てきたナポリタンは一般的なケチャップベースではなく、ニンニクを効かせたトマトベース(ニンニク無しでもつくってもらえます)。野菜と牛挽き肉100%、旨みギッシリの味わいでした。ミートソースとナポリタンのハイブリッドといった感じでしょうか。野菜を煮出すことから手間をかけている、寿枝さんの自慢の濃厚ソースが本当に美味しいです!
こちらでは、ソースからドレッシングから既製品を一切使わず、全て手作り。試行錯誤を永年繰り返し、より美味しくなる研究を重ねてこられたそう。「こんなお店が続けてこられたのはお客さんが来てくれるからなのよね。なんの取り得もないから、料理だけは手を抜かずに本気のものを出したいの。もうほんとにそれだけ。」そういって一皿ひとさら真摯に向き合う寿枝さんです。
こだわりはもちろんコーヒにも...
一番のおすすめのトアルコトラジャ。トラジャコーヒーと言えば、インドネシアのスラウェシ島にあるトラジャ地方のみで産出される豆のことで、栽培にきめ細かな配慮が必要なアラビカ種のため希少価値の高い豆として知られています。
挽く前の豆であっても酸化は進むので、毎日新しく200gの封を開けるのだそうです。もちろんコーヒーは注文を受けてから挽いて丁寧にハンドドリップ。酸味とまろやかな味わいが美味しいトアルコトラジャでした。ランチセットにも選ぶことができます。
ランチセットの紅茶も、アールグレイ・アッサム・ダージリンから選べます。紅茶もとても香り高くて、つかのまの優雅な時間を味わいます。
珈琲用と紅茶用のお砂糖が、それぞれ別に用意されているのもさすがです。
オーナー寿枝さんの心意気に感動して、おすすめのフレンチトーストも注文しました。
これまたフルーツがこんなに盛りだくさんで、お手頃プライス。
柔らかいフレンチトーストが主流の中、こちらではフランスパンを使ってしっかり4面を焼くことで、外はカリッ、中はもちっとしたフレンチトースト。絶妙なほどよい甘さです。
ケーキももちろんすべてお手製。チーズケーキはレモンをたっぷり使って香り高く、しっとりと濃厚な味わい。他にもシフォンケーキは妹さんのお手製だとか。どちらも大人気でケーキだけをテイクアウトに買いに来るお客さんも多いそうです。
平日は近所の顔なじみの常連の方や、土日は県外からのお客さんやリピーターの方も多いそう。「最近はネットを見て来てくれた若い人も多くてありがたいの」と寿枝さん。
また青梅は文人やアーティストが多く住む土地で、芸術家たちが集まるお店でもあるのだとか。クラージュの雰囲気の良さ、寿枝さん達の美味しさへのこだわりや人柄で、何度も通ってしまうのも頷けます。
「落ち着いた雰囲気の店内だけど、家族連れや小さいお子さん連れのママもよく来てくれるわよ。子どもは騒いだり泣いたりするものだから迷惑になるかもなんて気にしないで、気軽に来てほしいわね」と寿枝さん。
お孫さんに車で送ってもらって、ここでの珈琲タイムを楽しみにしている90歳の方もいるのだとか。
また一人で来たお客さん同士を、寿枝さんが共通の趣味の話題でつなげて楽しくおしゃべりが始まったり「人と人をつなげるのも喫茶をやってて楽しいことの一つね」と笑顔で語ります。
「でも、もうこんな歳だから実はカラダはしんどいの。いつまで続けようかといつも考えてるのよ。営業時間を短くしようかとかメニューを絞ろうかとも考えているの。
だけど頑張ってつくった料理で喜んでもらえたり、ここに来ておしゃべりして元気が出たわーと言ってもらえるのが何より一番嬉しくて。それだけで今は続けているのよ。お客さんはやめないでって言ってくれているし、やっぱりこの仕事が好きだから、出来るうちはやるんだけどね。」
クラージュ”とは”元気・勇気”というフランス語。お客さんにとって「元気の出るお店」を目指してきた寿枝さんたち。同時にこの場所は、寿枝さんたちの元気の素にもなっているのかもしれません。
いつまでも元気で末永く続けてほしい青梅には貴重なお店です。
「最近野菜とってないなぁ...カラダにいいもの食べたいなぁ」というとき、
カラダとココロの栄養補給に、カフェ・ド・クラージュへぜひお越しください。
カフェ・ド・クラージュ
電話: 0428-21-5862
住所: 青梅市仲町253
営業時間:11:00-15:00
定休日: 月曜・第3火曜
席数: 20席
駐車場: なし
最寄駅: 青梅駅から徒歩1分
執筆者:増田由里子
青梅に越してきてもうすぐ1年。青梅の山に入りびわの葉を拾って染め物したりお茶にしたり、ゆずも拾ってきてはジャム作ったり、農業ボランティアしたりと青梅ライフを満喫してます。