目 次
現在の東馬場御師住宅は、1886年(慶応2年)に十代目当主が建てたもの。それから幾度かの改築を経てもなお当時の情趣を残し、茅葺き屋根はもちろん、欄間や窓、障子、壁に至るまで歴史や文化・伝統を感じます。
宿泊は1日限定1組。
和室が5間もある広々空間を贅沢に貸切します。気の置けない家族同士などであれば複数組での利用も可能です。
部屋に入ってみると壁の色が少し青みがかっていることに気が付きます。わざわざ京都の左官職人にお願いしている”浅葱(あさぎ)色”の壁です。女将は「水を連想させる浅葱色にすることで、火事にならないよう願掛けしようとしたのでは」と話します。この願いは玄関の千鳥破風に描かれた水鳥にも込められているのかもしれません。
書院造風のお部屋にはガラスのない窓が。昔は障子が窓ガラスの代わりで、建設された当時のまま残っています。武田菱を彷彿する障子を開けると、木製雨戸を挟み外に繋がっています。
江戸や明治期の貴重な建築様式がそのまま残る宿坊内。タイミングがあえば、ご主人や女将さんに直接館内を案内してもらえるかもしれません。
宿泊でなくとも、東馬場は茶処として気軽に立ち寄ることができます。
登山で御岳山の自然を味わった後は、東馬場で足を休めてお腹を満たしましょう。若女将のアイディアを盛り込み、女将が作る料理は見た目から食欲をそそります。
お抹茶や珈琲にはお茶うけも付いて、甘酒やお汁粉も人気。何度でも訪れたくなってしまいます。
天保15年に奉納され受け継がれてきた銅鍋では、お茶請けの青梅の甘露煮をこしらえます。風情のある建物で、歴史の深さを感じるひとときです。
若女将が子育て真っ最中のママでもあり、来訪者が授乳やおむつ替えに困らないように配慮してくださるのも嬉しい心配り。離乳食の温めもお願いできます。
※料理内容は季節により変わります
14代目の当主馬場克巳さん。武蔵御嶽神社の神職、宿坊の運営、畑仕事など多忙な毎日を過ごされています。
御岳山集落は大きな家族のようにつながりが強いところだと馬場さんは話します。集落の子供たちは近所の大人達の目がある中で育ち、山道で車が脱輪したとなれば放送がかかり、住民たちだけで解決させてしまうのだとか。
神職と聞くと格式の高さを感じますが、御岳山や神社、東馬場の歴史などざっくばらんに惜しみなく話してくださったり、またお孫さんをとても可愛がっている様子など、親近感がわいてくる方です。
美人女将がいると昔から評判だった東馬場。女将さんが自慢の料理や館内の清掃など一手に担います。
昔は車でふもとに行くことが出来なかったため、「あるもので工夫して作る」ことが女将はとても上手だとか。孫がねだったものを、身近にあるもので魔法のようにおもちゃを作ってくれるんですと、若女将は話します。
「何でも気軽に買える今、こういった工夫し
12年に一度の武蔵御嶽神社式年大祭の酉年に嫁いできた若女将の佳世子さんは、横浜出身のシティガール。
今は2人の男の子を育てながら若い目線で宿坊をマネジメントする、もはや無くてはならない存在です。当主の克巳さんも佳世子さんのことを「救世主だ」と絶賛しています。
佳世子さんは「山には関心もなく育ったのに、お犬様に縁を結んでいただいたよう」と話すほど、馬場家との不思議なご縁を感じずにはいられない数々のエピソードが。結婚式の日付と馬場家住宅が建てられた日が同じことが後から分かったり、入籍した日付が青梅市の市外局番だったなど、偶然とは思えないことが度重なったそうです。
江戸から続く建物を保存していくためには、とてもお金がかかります。茅葺屋根ひとつとっても、葺き替えは家が一軒建つほどの費用がかかり、職人不足や材料の確保もたやすくありません。
昔は囲炉裏があることで、茅葺屋根がいぶされ防虫や防菌効果を上げていたそうですが、消防法により囲炉裏を撤去せざるを得なくなり、補修・葺き替えサイクルが過去よりも短くなっているのだそうです。
一時は建物自体も傾いていたり、雨漏りなどのご苦労もあったそうですが、伝統と建築技術を受け継ぎつつ、訪れる人たちを気持ちよく迎えるために現在の生活様式も整えています。
当主が内神殿にてお清めをした「ジンジャ糖(しょうが糖)」や「ぷるさしこん」がおみやげに人気で、オンラインでも購入できます。若女将の優れたセンスで館内もWEBサイトもより洗練されたものに刷新、またイギリスに滞在されていた英語力で東馬場の歴史と魅力を広く発信しています。
若女将は、御岳山で過ごすと「五感が研ぎ澄まされていく」と話します。
常に電子音が響く日常から、森の静けさや鳥のさえずり、風の匂いに包まれる山の時間で「体調をリセットできる」のだそうです。宿坊周辺には山鳩のつがいが住み着いていたり、どこから入ってきたのかミソサザイのヒナが畳に集まっていたとか。
自然と一体になる、無になる感覚がある、若女将はいいます。
自然とともに時が流れる東馬場で、安らぎの時と温かいおもてなしを堪能してください。
宿泊料金(平日1日1組限定 / 1泊2食付き)
大人 ¥15,000~
小学生 ¥10,500~
幼児 (食事・布団あり)¥4,500~ (布団のみ)¥2,000~ (食事・布団不要)¥1,000~
2歳以下 無料
乳幼児連れ情報
離乳食持ち込みOK
設備
Wi-fi / お茶セット
アメニティ
ハミガキセット / タオル / 浴衣
浴室
ボディーソープ / リンス / シャンプー / ドライヤー
東馬場 基本情報
住所 | 東京都青梅市御岳山54 |
---|---|
ケーブルカー御岳山駅から | 徒歩15分 |
電話 | 0428-78-8446 |
チェックイン | 15:00 |
チェックアウト | 10:00 |
宿泊可能人数 | 2名からOK |
現地でのお支払い | 現金 / PayPay |
予約方法 | 電話 公式サイト |
※掲載内容は変更の可能性があります。(2021年8月 現在)
執筆者:川久保 香織
青梅市在住のWEBデザイナー。おうめごこちでは取材・ライターとして活動。人と人を繋ぐ、地元活性化に繋がる仕事がしたい。猫・鳥・花が好き。
ホームページの作成や更新、パソコンやスマートフォンに関するご相談承ります。
https://slats.jp