青梅駅の改札を出て目の前に広がるロータリーを反時計回りに歩いていくと、右手にブリキとグリーンがコーディネートされた素敵な外観のカフェがあります。
その名も「つぶあんカフェ」。
青梅産の食材を使ったランチプレート、和菓子をアレンジした青梅スイーツを楽しめるのはもちろんのこと、青梅市内で活動するアーティストさんの作品を見て、買うことができる、青梅のガイドブックのようなお店です。
お店へ一歩踏み入れてみるとそこに広がるのは、店主の”好き”を詰め込んだ、唯一無二の世界感。
まるでお花畑のようなグラデーションの壁は、有名テーマパークの装飾も手がけるアーティストさんにデザインしてもらったそうです。
テーブルや椅子もかつて工場や家庭で使われていたアンティーク家具をリメイクしたもの。これまで見たことがない内装でありながら、不思議と落ち着く空間です。
そしてメニューを開くと、まず目にとまるのが「梅しるこ」。
老舗の甘味処では、おしるこに塩昆布やシソの実を添えることもありますが、なぜ梅を?
その理由はとても意外なものでした。
かつて市内で甘味処を営んでいた母親の背中を見て育った店主さん。しかし、実はあんこがそんなに好きではなかったのだとか……。
そんな中生み出されたのが、甘酸っぱい梅干しとの組み合わせでした!
あんこと一緒に梅が煮込まれた梅しるこは、甘さの中に爽やかな梅の香りと酸味を感じられ、従来のおしることはひと味もふた味も違った美味しさです。メニューの誕生秘話から考えると、もしかしたらあんこが苦手という方もイケるかも……!?
15〜20品目の食材を使った日替わりのランチプレートも魅力的です。食材はできる限り青梅産のものを使っているそう。気がつけば栄養が偏りがちなお昼ごはんを、地産地消で丁寧にいただく。平日のランチタイムには青梅駅前で働く人たちが、そんなひとときを過ごしています。
Menu | |
焼きパンスパム・チーズ(ドリンク付) | ¥850 |
焼きパンアップル・シナモン(ドリンク付) | ¥800 |
梅うどん | ¥750 |
つぶあん的ねこまんま(西ノ猫町プロジェクトコラボフード)ほうじ茶付 | ¥750 |
奥多摩はちみつと青梅たまごのこんがりパウンドケーキ | ¥500 |
つぶあんクリームあんみつ | ¥850 |
自家製フルーツソースのパフェ | ¥650 |
おしるこ | ¥650 |
ブレンドコーヒー | ¥500 |
黒みつコーヒー(日向和田の和菓子処「は万の」黒蜜使用) | ¥570 |
いちじくコーヒー(ヘーゼル洋菓子店いちじくジャム使用) | ¥600 |
おしるこコーヒー | ¥650 |
ヴィネガリーオレンジ | ¥500 |
ホットチョコ | ¥600 |
柚子レモネード | ¥600 |
ブルーベリーレモネード | ¥600 |
お料理もさることながら、それらが乗っている器もセンス抜群。
つぶあんカフェさんの食器は青梅市内で活躍している作家さんの作品が多く使われています。例えばパウンドケーキを提供する際のガラス皿や、紅茶のカップはガラス工芸作家の平岩愛子さんの作品。見た目には繊細でありながら実用性にも優れている彼女の作品はオーナーが惚れ込み、食器だけでなく店内装飾としても重宝されています。
そのほか市内のアーティストさんが作るハンドメイドアクセサリーや、青梅の特産品である夜具地を使った雑貨も販売しています。商品はすべて1点もの。ぜひお気に入りを見つけてください。
青梅市は都内といっても、23区のように流行の最先端を担うお店があるわけでもなく、ハイセンスな文化施設があるわけでもないため、市外の人からも市民からも「なにもない」と言われがちです。
そんな青梅の「なにもない」イメージを覆すために、青梅のいいとこ探しを始めたのが始まりでした。そこには確かに美味しい食べ物や素敵な作品を生み出す人がいます。「市内で体験するさまざまな思い出の出発地としていただければ」とオーナーは話します。
休日にはイベント出店も行なっています。そこで人気なのが、柚子で作った自家製コーディアル(シロップ漬け)を割った柚子レモネード。
自家製コーディアルは季節によって柚子やブルーベリーで作られ、バタフライピーティー・緑茶(青梅産)・ミント・レモンバーム・レモングラスをブレンドしたオリジナルブレンドティーとレモネードが2層になった「青梅ブルーレモネード」が思わず目をひくビジュアルとそのみずみずしい美味しさで人気です。
今後はテイクアウトのドリンクにより一層力を入れたいとのこと。「将来的には店前にドリンクスタンドを開いて、ドリンク片手に市内観光を楽しめるような街にしたいですね」とお店だけでなく、青梅全体の未来を見据えた展望を話してくださいました。
「つぶあんカフェ」は駅から徒歩1分。改札を降りて目の前に広がるロータリー内にありますので、徒歩での来店がおすすめです。有料ですが駅前に駐車場や駐輪場もありますので、お車やロードバイクでもOK! ぜひ、青梅を楽しむためのはじまりの店、1日楽しんだあとに思い出を語り合う店として立ち寄ってみてください。
つぶあんカフェ
電話: 0428-25-2251
住所: 〒198-0083青梅市本町131
営業時間: 11:00~17:00
定休日: 木曜日
駐車場: 近隣のコインパーキングをご利用ください
最寄駅: JR青梅線 青梅駅から徒歩1分
WEB: http://tsubuancafe.com/
執筆/撮影:たなかもみこ
福生生まれ、青梅育ち。フリーライターとして西の風新聞さんやWEBマガジンなどで執筆しています。
もっぱらインドア派ですが、取材を通して地元・青梅の魅力を改めて感じています。アイコンは青梅で拾った実家の愛猫です。